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ALL ABOUT OUR FLAGSHIP STORE

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“余白と無駄遣い”を味わう贅沢な空間

YOKE FLAGSHIP STOREができるまで

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2024年10月19日、YOKEは東京・青山に初のフラッグシップストアをオープンしました。

​200平米のスペースに、アートピースのようにコレクションを並べた豊かな空間が広がります。​

設計を担当したのは(株)XINGの有川靖さん。

デザイナーの寺田典夫との対談から、

YOKEの世界が詰まったこの店舗が完成するに至ったストーリーを振り返ります。​​​

アパレルショップに見えない、洋服屋​​​

寺田:有川さんに内装をお願いするのは、下馬のギャラリーと三宿のアトリエに続いて3軒目でしたね。

 

有川:そうですね。今回のお店について一番最初に「いわゆるアパレルショップにはしたくない」というリクエストを聞いた時、純粋に「面白そう」と思いました。

―――難易度の高いお題ですね。

 

有川:寺田さんの好みはわかっていたし、こうして連続して同じ方から案件をいただく機会って内装建築ではそう多くないので、ありがたかったです。

寺田:気づけば1年に1回のペースでお願いしています(笑)。YOKEらしさを理解してもらえているので、今回も安心してお任せしました。

―――そもそも、なぜ直営店をオープンしようと思ったんですか?

寺田:ブランドを始めた当初は、直営店を出すことは考えもしなかったんですよ。

 

ブランドが成長し、ありがたいことに取り扱い店舗が50店以上に増えました。

 

ランウェイや展示会でコレクションを発表していくなかで、お客様にきちんとYOKEの世界観が伝わっているのか?と考えるようになって。

 

次のステージを見据えて、自分たちから発信することの重要性も感じていました。

 

そこで、直接ブランドの世界観を体感してもらえるお店を作ろうと決めました。

 

こうして物件を探し出したのは、今年になってからです。今年中に絶対カタチにしようと決めて動き始めました

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―――どんな条件で物件を探していましたか?

 

寺田:青山・表参道エリアを一通り見ていました。立地は1階で。直営店といえばやっぱり1階でしょうというイメージがあったんです。​​​​​

毎日のように物件サイトをチェックして、1軒だけ条件の合う物件を見つけたですが、別の方が先にお申し込みしていたようで逃してしましました。

あと、広さも重視していました。ゆったり過ごせる空間で洋服を見てもらいたかったので、ギャラリーの150平米より広い物件を探しました。展示会をするには、150平米だと少し手狭だなと感じていて。

 

でも、都心の1階だとそんな物件はなかなかなくて、家賃もとんでもないんですよ。そんな時、2階だったけどたまたまこの200平米の大箱物件が見つかった。4月のことでした。

有川:この物件を連絡してきたときの寺田さんのテンションは今でも覚えています。こりゃ決まりそうだ、こちらも動く準備しておかないと、と焦りましたね(笑)。

 

寺田:すぐLINEしましたから(笑)。もう一目惚れでした。

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2階に向かう階段のアプローチの雰囲気や、入った瞬間に一気に広がる抜け感のある空間、大きなL字窓と自然光の差し込み方。すべてが完璧でした。コンクリート打ちっぱなしのスケルトンの状態で、すでにかっこいいんですよ。

 

有川:僕もその後すぐに内見しました。第一印象は、とにかく広い。あと、見せられないような場所があまりないなと。3本の柱をうまく生かしたいなとか、残すところと隠すところのバランスを考えたいなとか思っていました。

 

寺田:正直、予算をかなりオーバーしていましたが、思い描くイメージのお店を実現させるには覚悟が必要だと、腹を括りました。

 

思い返してみると、下馬のギャラリーも三宿のアトリエも2階。2階にはずっと縁がありますね。

ECで洋服が売れる時代に、あえてお店を作る意味​​​​​​​​​​

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―――物件が確定したあとからは、どんなやりとりで進めていきましたか?

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有川:寺田さんとは毎回、イメージ画像をいくつも照らし合わせて・・・というよりは、雑談まじりの会話からアイデアを膨らませていきます。

 

今回も「アパレルっぽくしたくない」という大枠のほかに、細かいリクエストはありませんでした。静かなプレッシャーを感じていましたよ(笑)。

寺田:信頼しているからです(笑)!過去2回ご一緒したからこそ、多くを言わずとも伝わるなと思って。

 

有川:「こんな感じかな」という想定を超えていかないといけないとは意識していましたね。

 

ギャラリーやアトリエは、空間を綺麗に整えながら形にしていった。対して今回は、シンプルで素敵なだけでなく、商業としての側面も考えないといけないと思っていました。お店としての“味”やエンターテインメント性も足していかないと、と。

寺田:僕はまず、自分が印象に残っているお店や好きなお店を考えました。Dover Street Marketの回遊するワクワク感、青山のCOMME des GARCONSやISSEY MIYAKEの世界観重視の空間・・・すぐに洋服屋さんだとわからないようなお店が好きなんですよ。

 

有川:店舗がなくてもECで洋服が売れる今の時代に、あえてわざわざお店を作ることの意味を二人で考えましたね。

 

寺田:そうでしたね。

 

有川:出たキーワードは、“体験できること”。それが醍醐味であり、高揚感につながるのでは、とかね。

 

寺田:豊かな空間に行くとテンションが上がりますね、とか。

 

有川:では“豊かさ”とはなんだろう?と二人で深掘りしたときに、空間を贅沢に使っていることが一つの手掛かりになりそうという話になりましたね。そこから“大胆な無駄遣い”というテーマが固まっていきました。

 

―――“大胆な無駄遣い”は今、なかなかできないことだと思います。

 

寺田:余白って大事だなと常々思っているんですよ。洋服にも空間にも共通して考えているのは、余白をどれだけ持たせられるか。

 

LEMAIREのパリ旗艦店に行った時、この広い空間にこの量しかものを置かないのか!と痺れたんです。究極の贅沢だなと。お店に入って感動するってこういうことだと思いました。

 

有川:余白を作ることって、アパレルだと難しいですよね。

 

寺田:どのお店を見ても、だいたい壁にぎっしり洋服がかかっています。

 

有川:それが一番売りやすいからね。寺田さん、意地でも壁にハンガーラック作らなかったもんね(笑)。

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寺田:効率度外視のアプローチです(笑)。

 

コロナ禍を経て「お店に行く」という行為自体が減っていたと思いますが、一方でディスティネーション・ストアの流れもじわじわと機運を感じています。

 

僕がそれをやろうと思った時、服だけじゃ成り立たない。好きなアーティストの作品も一緒に並べて、豊かさを感じることができる空間にしたい。それならブランドらしさも自分らしさも出せると思いました。

 

こうして「余白と無駄遣い」というコンセプトにまとまりました。​

Text:Chikako Ichinoi

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Vol.2に続く。

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