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Beyond Form : Jean Arp




2026 Fall/Winter Collectionのテーマは、「Beyond Form」。彫刻家、画家、詩人として活動したジャン・アルプの作品をインスピレーション源に、自然界に見られる有機的な曲線や、偶然から生まれる形に焦点を当てました。

ジャン・アルプは1886年、当時ドイツ帝国領だったストラスブールに、ドイツ人の父とフランス人の母のもとに生まれました。両国の文化に触れながら育ち、幼い頃から絵や造形、詩に親しみ、芸術家の道へと進みます。

ストラスブールをはじめ各地の美術学校で学びますが、伝統的な美術教育になじめず、新たな表現を模索し続けました。1911年にはスイスで芸術家グループ「デア・モデルネ・ブント」を結成し、カンディンスキーやクレー、ピカソ、エルンストらと交流を深めます。

1915年には、後に妻となる芸術家ゾフィー・トイバーと出会い、木や紙、布を用いた抽象作品を共同制作するようになります。第一次世界大戦中にチューリヒへ移ると、トリスタン・ツァラらとともにダダイスム運動に参加。紙をちぎって落とし、偶然できた配置を取り入れるなど、作家の意図や制御から離れた表現を試みました。

アルプにとって偶然とは、単なる無秩序ではなく、植物や生物が自然に成長していくような生成の原理でした。1920年代後半からは、人体や植物、卵、小石、雲などを思わせる、丸みを帯びた有機的な形態を発展させていきます。

その作品は、何か具体的なものを思わせながらも、ひとつの対象には限定されません。人や植物、動物など、さまざまな存在へと変化していくような曖昧さと、生命体のような柔らかさを備えています。こうした抽象と具象の間を行き来する自由な造形は、アルプを象徴する表現となりました。


1943年にゾフィーを事故で亡くした後、一時は造形制作を離れますが、詩作を通して妻を追悼し、やがて制作を再開しました。1954年にはヴェネツィア・ビエンナーレ彫刻部門賞、1963年にはフランス芸術大賞を受賞。国際的な評価を確立し、1966年にスイスのバーゼルで生涯を閉じました。


今回のコレクションでは、アルプが唱えた「自然界に直線はない」という考えをもとに、有機的な曲線と偶然性から生まれるフォルムを探求しました。クラシックなテーラリングをコンパクトで丸みのあるシルエットに仕上げ、構築的なコートにはドレープによる柔らかな表情を加えています。また、ニットやコートのヘムにワイヤーを入れることで、着る人が自由に形を変えられるディテールも取り入れました。アルプの作品に見られる偶然性と自由な造形が、衣服の中で生み出すさまざまな表情を、本コレクションを通してお楽しみください。